内視鏡は下垂体腫瘍、脊索腫、頭蓋咽頭腫のみならず様々な脳腫瘍に対して有効な治療法です。愛知、東海地方の中核病院である名古屋大学脳神経外科の内視鏡治療をお知らせします。

内視鏡治療と対象疾患

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脳神経外科における内視鏡治療とは?

脳神経外科手術では古くから顕微鏡を用いた顕微鏡下手術(マイクロサージェリー)が盛んに行われてきました。もちろん現在も手術の基本はこのマイクロサージェリーですが、近年内視鏡を使用した手術が行われるようになってきました。脳神経外科ではこの内視鏡手術のことを神経内視鏡手術と呼んでいます。
内視鏡手術の利点として、小さなキズでも手術が可能なことがあげられますが、脳神経外科手術において、この利点は威力を発揮します。脳神経外科手術は、脳や脊髄などの大事な神経組織のなかで手術を行わなくてはならないという特徴があります。脳腫瘍、脳内腫瘍、脳出血、下垂体腫瘍などの手術ではいかに正常の神経組織を触らないように手術するかが、手術後の麻痺の出現を左右します。小さいキズで手術できる神経内視鏡手術はやはり脳神経外科手術に有用であると言えます。

 

それでは神経内視鏡手術についてご紹介したいと思います。

神経内視鏡治療に使われる内視鏡の種類

内視鏡には硬性鏡と軟性鏡の二種類があります(最近はこれらを組み合わせたようなものもありますが)。
硬性鏡は曲げることは出来ず基本的には道具を内視鏡に沿って挿入することで手術を行います。非常に明るく、細かい視野が得られますが、直線的な動きのみとなります。先端部で30度、45度、70度と横を見るような内視鏡もありますので、間口が狭く、奥が広いような病変の手術に向きます。また手術道具を内視鏡の他に複数本挿入することが出来たり、顕微鏡手術で使用されるような大きめの手術機器も使用可能ですので、顕微鏡手術のような細かい手術を行うことも可能です。将来的に現在行われている顕微鏡手術がこの硬性鏡を用いた内視鏡手術に移行すると思われます。

 

 

軟性鏡は胃カメラのような構造をしており、深部で曲げることが出来ます。このため脳深部で複雑な構造をしている症例に向いています。脳外科における軟性鏡手術は基本的に水を流しながらの手術となりますので、本来水の存在する脳室内や、病気によって水がたまっているくも膜嚢胞などの嚢胞性疾患が良い適応となります。左図のものはビデオスコープと呼ばれ画質も比較的良好です。しかしながら細い2mm程度の鉗子口を通しての手術になりますので適応が限られます。基本的には腫瘍の生検術や嚢胞開窓術が主に行われます。

 

 

神経内視鏡を利用した主な治療法

経鼻頭蓋底手術…鼻の穴を利用して頭の中心付近の病変の切除を行います。元来広く利用されている開頭による頭蓋底手術では脳を大きく引いたり、骨を大きく削除したりする必要があるため病変部に到達するまでに非常に長い時間を要したり、出血を伴うことも多かったですが、鼻からの手術を行うことにより、皮膚をまったく切ることなく、時間も30分程度で病気の部分まで到達することが可能です。これにより術者は体力を温存し腫瘍の摘出に全力を注ぐことが可能です。現在は下垂体腫瘍、頭蓋咽頭腫、鞍結節髄膜腫、脊索腫、三叉神経鞘腫などに限られますが、これらの症例に対しては開頭術よりも広く明るい視野が得られ非常に良い適応です。今後さらに広がることが予想される術式です。

 

脳内血腫除去術…脳出血は脳深部に血の塊を作ってしまう病気です。血腫を除去することにより脳組織の圧迫を解除し神経症状を改善したり生命予後の改善に寄与します。顕微鏡下に手術を行うことが多いですが、脳の中に血腫が存在するために脳を大きく切って血腫に到達する必要がありましたが、内視鏡手術では頭蓋骨に1cm~1.5cmの穴をあけ、6mmの円筒形のシースを挿入し血腫の除去を行うことが出来ます。脳の自然な圧力で除去される他、摘出後に水で満たし小さな出血を確認できますので、術後出血のリスクを下げることが出来ると思われます。

脳腫瘍摘出術…脳腫瘍のうち深部に存在するものが良い適応になります。脳内血腫除去術と同様に小さな開頭を置き、6mm~12mmの筒を使用し腫瘍を摘出します。道具の開発に伴い細かな剥離操作も可能でバイポーラという止血器具もこのような細い筒を通して使えるようになったため、より安全で確実な手術が可能となっています。

神経血管減圧術…顔面けいれんや三叉神経痛はそれぞれの神経に脳の中の血管が当たって刺激を与え続けているの原因です。元来顕微鏡を用いて小さな開頭にて治療を行っていましたが、一方向からの視野しか得られないため神経の裏側が見にくく、また脳をある程度引く必要がありました。この手術に内視鏡を使用することにより神経の裏側を脳をあまり引かずに観察することが出来ます。もともと低浸襲な手術でしたが、脳組織に優しく確実な手術を行うことが出来ます。

水頭症・嚢胞開窓術…閉塞性水頭症やくも膜嚢胞などの疾患が対象となります。脳の薄い部分に穴を開けることで水の交通をつけ治療を行います。体内にシャントなどの器械を埋め込む必要がなく、低侵襲かつ生理的な治療となるためこれらの疾患の第一選択の治療であると言えます。

 対象疾患

内視鏡を用いた脳神経外科手術はすでに多様であり、様々な疾患がその対象疾患となっています。主な対象疾患を記載させていただきます。

経鼻頭蓋底手術

・下垂体腺腫
・ラトケ嚢胞
・頭蓋咽頭腫
・鞍結節部髄膜腫
・鞍上部くも膜嚢胞
・その他傍鞍部にできる腫瘍の生検・摘出(胚細胞腫(ジャーミノーマ)、脳幹前面の腫瘍性病変)

シリンダー手術

・海綿状血管腫、脳幹海綿状血管腫
・脳腫瘍(特に深い部分にできた病変)
・脳室内腫瘍

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