内視鏡は下垂体腫瘍、脊索腫、頭蓋咽頭腫のみならず様々な脳腫瘍に対して有効な治療法です。愛知、東海地方の中核病院である名古屋大学脳神経外科の内視鏡治療をお知らせします。

海綿状血管腫

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海綿状血管腫のまとめ

海綿状血管腫は脳内の血管奇形の一つです。
最近では脳ドック等で無症状の状態で発見される海綿状血管腫もあります。
無症状であれば経過観察でよく、出血しても治療が不要な例も多いです。
治療が必要なものは、症状が強いもの、出血を繰り返すものなどです。飛びつかずにしっかり主治医と議論しましょう。

 

海綿状血管腫は字面から腫瘍のような印象を受けますが血管奇形の一種です。小さなものは症状のないものも多く、経過観察とされることの多い疾患です。しかしながら血管の奇形ですので出血を繰り返すこともあり、大きくなることで周辺の脳を圧迫しさまざまな神経症状を出すことがあります。またてんかんの原因となることもあり、治療が必要となることもあります。

海綿状血管腫の特徴・症状


多くは無症候性ですが、出血を繰り返すことで周辺の脳を圧迫し頭蓋内圧亢進症状(頭痛、吐き気など)が出たり、血管腫の場所によって麻痺、言語障害、記憶障害を来す可能性があります。出血後しばらく経過すると血腫が吸収されることにより改善することもあります。
出血を繰り返さなくとも、脳の表面近くに存在する場合にはてんかんの原因になることもあります。

海綿状血管腫の治療

無症候性の場合には経過観察として問題ありません。
出血を繰り返しサイズが大きくなるもの、頭蓋内圧亢進症状のつよいもの、薬物治療ではコントロール出来ない”てんかん”の原因となる血管腫などが治療の適応となります。
治療の選択肢としては手術治療放射線治療があげられます。
手術治療はこの疾患の第一選択の治療法で、全摘出することにより根治することが出来ます。しかし場所によっては手術治療が難しいものもあり、この場合放射線治療が選択されます。一定の効果は得られるという報告がありますが、サイズが大きい物には適応しづらく、悪化の危険性も示唆されています。また根治療法ではないため、手術治療が可能な海綿状血管腫は適応から外れます。

当院における海綿状血管腫治療の工夫

海綿状血管腫は腫瘍ではなく、血管の奇形です。悪性ではありませんので可能な限り周辺の脳に傷を付けないように治療を行うことが重要であると考えています。上記の通り無症状の海綿状血管腫、症状改善の見込める海綿状血管腫に対しては手術治療に飛びつかずに経過観察することも重要であると考えています。
海綿状血管腫自体はぶどうの房のようなものでつぶがいくつも集まってできています。出血を起こしたものはこの内のいくつかが大きく拡大してしまった状態です。つぶを残すことで再発の原因となりますので、探しだして摘出を行う必要があります。
内視鏡治療は海綿状血管腫治療に非常に有効であると考えています。脳深部に存在する海綿状血管腫に6mmもしくは10mmの円筒を挿入し、内視鏡で確認しながらその筒の中で摘出を行います。正常脳を傷つける範囲はその筒の部分のみですみますので、従来の脳を切って入る手術に比べて低浸襲であると言えます。
海綿状血管腫のつぶを摘出していくとある程度空間が出来ますので、その空間を水で満たして、水の中で手術を行います。
水中下手術は顕微鏡手術では出来ない治療であり、また脳はもともと水の中に存在するものですのでより生理的な状態で手術を行うことが出来ます。また摘出した空間を水で広げることで、脳にやさしく、奥に入り込んだ海綿状血管腫をしっかり確認できますので、取り残しも減らすことができます。

脳海綿状血管腫の一例

徐々に増大する海綿状血管腫の症例です。当初は経過観察をしていましたが、増大してきたため手術治療となりました。
左図は手術前のMRIですが、房状の海綿状血管腫が写っています。
内視鏡を用いて4cmほどの皮膚切開、2cmほどの小さな開頭、1cmの筒を利用して海綿状血管腫を摘出しました。
右図は術後のMRIです。海綿状血管腫が全摘出されていることがわかります。周辺の脳へのダメージは最小限です。

 

 

 

 

 

 

 

 

脳幹海綿状血管腫の一例

脳幹部海綿状血管腫を含め海綿状血管腫治療に対し内視鏡治療は安全、低侵襲かつ確実な治療法といえます。

 

 

 

 

 

 

 

 

脳幹部海綿状血管腫の患者さんのMRI画像です。脳幹前方方向に血管腫が位置しています。

手術前の検査で左右に錐体路(手足を動かす神経線維)が分かれているのがわかりました。

【左図】白く写っているのは静脈性奇形であり、損傷すると脳幹部に静脈梗塞をきたしますので注意が必要です。

これまでこのような脳幹部海面状血管腫に対しては頭蓋底アプローチ法をもちいた手術が一般的でしたが、内視鏡技術の進歩により鼻からより低侵襲に、かつ脳幹損傷を抑えたアプローチが可能となりました。

鼻から皮膚を切ることなく脳幹の前にある硬膜に到達したところです。これを切開すると脳幹が露出します。

 

 

 

 

脳幹が露出されているところです。画面中央付近のやや黒いものが海綿状血管腫です。画面左側にみえる筒状のものが脳底動脈という大事な動脈で、そこから細い血管が何本も出ています。これを損傷することで麻痺の原因になるため温存しなくてはいけません。

 

 

 

摘出後に水中下にして残存のないことを確認します。水中にすることで摘出腔を広げることができますので、出血リスクを軽減できると考えられます。

上面にあるのは静脈奇形でありしっかり温存ができているのがわかります。

 

 

術後3ヶ月後の写真です(本人様に了承を得て掲載しております)。術前は歩行が難しい状態でしたが片足立ちできるまでに回復しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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