下垂体は、脳の中心からぶら下がるように存在し、様々なホルモンの働きをコントロールしている器官です。下垂体の大きさは1cm程度で大豆のような形をしています。下垂体は、前葉と後葉に分かれており、それぞれが異なるホルモンを分泌します。
前葉からは6種類のホルモンが分泌されます。
- 成長ホルモン(GH):身長や筋肉、骨などの成長に関与する
- 甲状腺刺激ホルモン(TSH):甲状腺から甲状腺ホルモンを分泌させる
- 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH):副腎から副腎皮質ホルモンを分泌させる
- 黄体形成ホルモン(LH):女性の卵巣から黄体ホルモンを分泌させる
- 卵胞刺激ホルモン(FSH):女性の卵巣から卵子の成熟を促す。男性の精巣から精子の生成を促す
- プロラクチン(PRL):女性の乳房から乳汁分泌を促す
後葉からは2種類のホルモンが分泌されます。
- 抗利尿ホルモン(ADL):尿量を調節する
- オキシトシン:女性の子宮収縮や乳汁分泌を促す。男女間の愛情や信頼感に関与する。
これらの下垂体から分泌されるホルモンは、身長や体重、代謝やストレス反応、生殖機能や乳汁分泌など、人間の体のさまざまな機能に関わっています。また、下垂体は他の内分泌器官と連携して、内分泌系全体のバランスを保っています。
下垂体の働きが低下したり過剰になったりすると、それらの機能に異常が起こることがあります。
下垂体の病気には、下垂体腫瘍や下垂体機能低下症などがあります。
下垂体腫瘍は、下垂体細胞が異常に増殖してできる良性または悪性の腫瘍です。
下垂体機能低下症は、下垂体から十分な量のホルモンが分泌されない状態です 。原因は、下垂体腫瘍や外傷、感染症、放射線治療などがあります 。症状は、成長ホルモン不足による低身長や肥満、甲状腺ホルモン不足による低体温や便秘、副腎皮質ホルモン不足による低血圧や貧血、性ホルモン不足による無月経や性欲減退などがあります 。