経鼻内視鏡手術は下垂体腺腫や頭蓋咽頭腫、脊索腫などの頭蓋正中に位置する腫瘍に非常に有効です。
しかしながら外側に伸展したものについては経鼻術のみでの摘出は難しく、無理に鼻から摘出することで周りの血管や神経を損傷したり、術後に残存した腫瘍から出血を起こす可能性があります。
これまでこのような大きな腫瘍に対しては複数回の手術を行うか経鼻術と通常の開頭術を組み合わせる方法が報告されてきました。

通常の開頭術を経鼻術と同時に行う方法は非常に有効な手術方法ではありますが、開頭術の侵襲性が高いこと、開頭術を選択するハードルが高いことからこの術式を選択する施設が限定されていました。
そこで、開頭術の代わりに小さなキーホール手術を選択し、内視鏡を用いることで十分な視野を確保しながら手術を行う方法を開発、適応してまいりました。

本論文ではこれまでの我々の経験とその成績について報告しています。
すべての症例に必要ではありませんが、通常の経鼻術では治療が難しい大きな下垂体腺腫や複雑な頭蓋咽頭腫、鞍結節髄膜腫をより安全に摘出率を向上させ、侵襲性を抑えることができる治療法と思われます。

Fully endoscopic combined transsphenoidal and supraorbital keyhole approach for parasellar lesions
掲載雑誌:Journal of Neurosurgery
掲載ホームページ:https://thejns.org/view/journals/j-neurosurg/128/3/article-p685.xml